黒曜の戦場


「りぴーとあふたーみぃ!!こはくちゃん!!!」

「…………お前自分でちゃん付けてて恥ずかしくねぇの」

「こはくちゃん!!!!!!」

「押し強……はぁ」



ため息をつかれるほどの勇気が必要なの!!?

と思っていると、指先で首にカリッと爪を立てられ、またピクリと肩が跳ねる。



後ろを向けないからって意地悪してるのねっ!!

引かないんだからね!!!



「………………ハク」



なんてムキィっと頬を膨らませていると、ため息の混じったようなその声が、耳元を掠める。

耳元を……?



「ハク。でいい?」



触れそうな程近付いた空気が、耳に触れる。

囁かれる声に、反射的に……頭に熱が溜まってきた。



え、まって、まって……近いみたいなんですが。

息、が……。



「え…………っと」

「その方が呼びやすい」

「…………いい、です」



思わずそう答えると、スッとその気配は遠ざかった。



「じゃあハク、首治った?」

「…………はっ!!!」



気付けば、ピキンと痛かったあの痛みも遠のき、ゆっくりと首を動かせる程度には回復していた。
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