見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
一瞬遅れて、頭と背中、そして腰に激痛を感じた。視界が回る。
どこかで悲鳴が聞こえた気がしたけど、出所を探る間も余裕もなく、目の前が暗くなって意識が途切れた。
気づいた時、視線の先には白い天井が見えた。
家の天井じゃない……と思っているうちに、意識をなくす前の出来事を思い出す。
気を失う直前に見たのは、早紀子さんの泣き顔。
彼女は彼女で本当に、真剣に稔くんを好きだったのだろう。
逆恨みされたことは不本意だけど、早紀子さんの気持ちはわからなくもない。
ずっと想っていた人がいきなり、まるで知らない女と結婚したら、納得がいかないと思う感情は想像できる。
……私も、あの人が好きだから。同じ状況になったら、仕方ないことだとは考えても、本心からの納得はできないかもしれない。
私の方がずっと前から彼を好きなのに──そう思ってしまって。
そんなふうにつらつらと考えているうちに、病室のドアが開いた。誰が入ってきたのか確認しようとして頭を動かしたら、後頭部に痛みが走った。
「ああ、動かしちゃダメですよ。しばらくは安静に」
5針縫いましたからね、と言われて「えっ」と思う。
そんなになるほど強くぶつけられたのか。どうりでまだ痛いはずだ。……しかし、縫ったということは、そこだけ髪を切られたんだろうな。しばらくは束ねるなり纏めるなりしてごまかさないと。