見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!

 そうして時間は無情に過ぎていき。
 気づけばタクシーに乗って、お見合い会場のホテルに到着していた。

 起きてから何も食べていないから、頭がぼーっとしてきた……
 けれどきついぐらいに締められた帯のせいで、何か食べたいという気も起きない。
 おまけに、メイクと着付けに気力を費やさざるを得なかったせいで、やたら眠い。

 こんな状態でお見合いがクリアできるの……?
 もはや、ゲームのクエストで、ヒットポイントが減りまくった状態でラスボスに挑む、そんな気分だった。

 意地を張らないで写真ぐらい見ておくべきだったかしら。せめて釣書だけでも。
 今さら考えても仕方のないことが頭を巡るのは、たぶん動揺しているからだ。眠気と空腹でぼんやりしているせいで、外からはそうは見えないかもしれないけど。

 意気揚々とした表情でタクシーを降りた両親に続いて、足元に気をつけつつ私も降りる。慣れない草履では気をつけないと、うっかりつまづいて倒れそうな気がしてしまう。

 ……もう、ここまで来たらしょうがないな。
 適当に受け答えをして、後で断らせてもらおう。
 両親は反対するだろうけど、個人的に仲人さんに連絡すれば済むことだ。たぶん。
 そんなふうに考えながら、両親と並んでホテルの入口へと向かった。
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