見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
彼の視線と表情は気になった。だけど尋ねることのできる空気ではなく、何も言えなかった。
仕方なく、もう一度『行ってきます』と言って、家を出てきた。
同窓会は思った以上に盛り上がっていて、当時親しかった友達もけっこう来ていたので、会話する相手には事欠かなかった。
正直、有難かった。意図的にそうしていないと、どうしても思い返してしまうから──物言いたげな視線と表情を。その裏に隠されているかもしれない意味を。
つい15分前までは、思い返さずに済んでいた。
けれど、遅れてやって来た同級生カップルによって場の流れが変わり、話していた友達が皆そちらに集中してしまったために、今は輪から外れた状態になっていた。
一人でぼんやりしていると、どうしても、考えても仕方のないことに頭がいってしまう。
彼は今、ひとりで家で、何をしているのだろう。
何を考えているのだろう……
「相崎さんだよね?」
唐突に声をかけられて、はっと我に返る。
振り向くと、スーツ姿の男性が、遠慮がちな微笑みを浮かべて私を見ていた。
誰だったろうか、としばし考えているうちに、記憶がつながる。
「……あ、澤田くん?」
尋ね返すと、相手はほっとしたようにうなずいた。