竜王太子の生贄花嫁を拝命しましたが、殿下がなぜか溺愛モードです!?~一年後に離縁って言ったじゃないですか!~
生贄としては最適だったろうが、ルードヴィヒからすると残念な相手だったのだろうとエルナは感じていた。
「与えられた役目はしっかりこなします。だから、どうか私を建前上でもルードヴィヒ様の妻としてここに置いてください」
実質帰る場所がないといえるエルナは、いくら気に入られなくともそう懇願するしかなかった。
「勘違いするな。俺は別にお前だから冷たくしているわけじゃない。妻になる相手など誰でもいいし、誰だったとしても興味などない。お前も知ってるだろう? この結婚は昔からのしきたりで、当事者の意思なんて関係ないってことを」
『私なんか』とやたら繰り返すエルナに、ルードヴィヒは自分の考えを話し始めた。
「ヘンデルは俺たちに後ろ盾についてもらい続けることを望み、俺たちは泉の管理ができる聖の魔力を持つ女性を求めている。さらに、見た目の美しい人間を好きなようにもできる。……お前が国の平和のために生贄にされたかわいそうな女ってことくらい、俺はわかってるんだ」
じろりとルードヴィヒの鋭い瞳がエルナを捉える。なにもかも見透かされているような気がして、エルナの背筋にぞくりとした感覚が走る。
「お前の家は領地をたくさん持つ伯爵家らしいな。さぞ甘やかされて育ってきたのだろう。そんな令嬢が生贄に選ばれるなんて――最後だからいい令嬢をよこしてきたのか」
ルードヴィヒが言うには、こんなに身分の高い令嬢が嫁ぎにきたことは、とても久しぶりのことらしい。
(というか、最後って?)
エルナはその言葉に引っかかりを感じつつも、口を挟む勇気はなかった。
さらに、自分は決して甘やかされて育ったわけでなく、屋敷で居場所のない不遇な令嬢であるということも。
「――だが、そんなどうでもいい。古いしきたりは俺の代で終わらせる。ラッキーだったな。お前は一年ほど我慢していれば自由になれるぞ」
「……え?」
自由になれる。そんなことは、シェーンベルグへ嫁ぐことが決まってからいちばん縁のない話だとエルナは思っていた。
「俺の父――国王陛下は一年後、俺に王位継承権を渡すことが決まっている。そうなったら、俺がシェーンベルグ王国の最高権力者となる」
「……ルードヴィヒ様は、王の権限でこのしきたりを終わらせる気なのですか?」
「与えられた役目はしっかりこなします。だから、どうか私を建前上でもルードヴィヒ様の妻としてここに置いてください」
実質帰る場所がないといえるエルナは、いくら気に入られなくともそう懇願するしかなかった。
「勘違いするな。俺は別にお前だから冷たくしているわけじゃない。妻になる相手など誰でもいいし、誰だったとしても興味などない。お前も知ってるだろう? この結婚は昔からのしきたりで、当事者の意思なんて関係ないってことを」
『私なんか』とやたら繰り返すエルナに、ルードヴィヒは自分の考えを話し始めた。
「ヘンデルは俺たちに後ろ盾についてもらい続けることを望み、俺たちは泉の管理ができる聖の魔力を持つ女性を求めている。さらに、見た目の美しい人間を好きなようにもできる。……お前が国の平和のために生贄にされたかわいそうな女ってことくらい、俺はわかってるんだ」
じろりとルードヴィヒの鋭い瞳がエルナを捉える。なにもかも見透かされているような気がして、エルナの背筋にぞくりとした感覚が走る。
「お前の家は領地をたくさん持つ伯爵家らしいな。さぞ甘やかされて育ってきたのだろう。そんな令嬢が生贄に選ばれるなんて――最後だからいい令嬢をよこしてきたのか」
ルードヴィヒが言うには、こんなに身分の高い令嬢が嫁ぎにきたことは、とても久しぶりのことらしい。
(というか、最後って?)
エルナはその言葉に引っかかりを感じつつも、口を挟む勇気はなかった。
さらに、自分は決して甘やかされて育ったわけでなく、屋敷で居場所のない不遇な令嬢であるということも。
「――だが、そんなどうでもいい。古いしきたりは俺の代で終わらせる。ラッキーだったな。お前は一年ほど我慢していれば自由になれるぞ」
「……え?」
自由になれる。そんなことは、シェーンベルグへ嫁ぐことが決まってからいちばん縁のない話だとエルナは思っていた。
「俺の父――国王陛下は一年後、俺に王位継承権を渡すことが決まっている。そうなったら、俺がシェーンベルグ王国の最高権力者となる」
「……ルードヴィヒ様は、王の権限でこのしきたりを終わらせる気なのですか?」