竜王太子の生贄花嫁を拝命しましたが、殿下がなぜか溺愛モードです!?~一年後に離縁って言ったじゃないですか!~
「そんなことありません。あなたは魅力的な女性です。しかし……そうですね。綺麗すぎるのかもしれません」
「え?」
「ルードヴィヒ様は、美しいものが苦手ですから」
 昨日、ルードヴィヒに言われたのと同じことをフランツにも言われ、エルナは驚く。そして、フランツのルードヴィヒのことはなんでも知っているという言葉に、とても信憑性を感じた。
「……まぁ、無駄話は置いといて、本題に入りましょうか」
 昨夜の話は無駄話だったのか、と心の中でエルナは思う。フランツはポケットから折りたたまれた一枚の紙を取り出すと、エルナに見やすいようにテーブルの上に置いた。そこには、エルナとルードヴィヒ夫妻の約一週間分のスケジュールが記載されていた。
「一週間後に開かれる王太子妃お披露目会まで、ルードヴィヒ様は片付けなければならない書類があるため基本的に執務室に籠り切りになるか、外出しているかの二択になると思われます。ですので、エルナ様が次にルードヴィヒ様と顔を合わせるのは一週間後のお披露目会になると思われます。こちらはこの王宮で招待客を呼んで盛大に開かれる予定です」
 一週間も会えないとは思わなかった。王太子というのはたいへんなのだなと、エルナは他人事のように思った。
「お披露目会の次の日、エルナ様は我が国のシンボルである泉に聖なる魔法をかけていただく予定です。そちらも観覧者がたくさん集まると思いますが、恒例の儀式のためご承諾いただけますようお願いいたします」
「はい。わかりました」
 人が集まるのは当然だ。この儀式のために、ヘンデルから女性が呼ばれているのだから。きちんと聖水になったかどうか、当然国民たちは、自分の目で確認したいに決まっている。
「あの、フランツさん。それまでのこの一週間、私はなにをすればいいのでしょう?」
 差し出されたスケジュール表を見ると、びっしりと仕事で埋まっているルードヴィヒとは対照的に、自分の欄は一週間後まで真っ白なことに気づく。
(きっとシェーンベルグの歴史を学んだり、王妃教育を受けたりっていう、忙しい日々が待ち受けているんだろうな。はぁ……王太子妃の役目なのだとしても、慣れないことをするのは気が滅入るわ)
 一般的な王太子妃がやっていそうなことをイメージして、エルナは勝手に頭を痛めた。
< 21 / 54 >

この作品をシェア

pagetop