竜王太子の生贄花嫁を拝命しましたが、殿下がなぜか溺愛モードです!?~一年後に離縁って言ったじゃないですか!~
「エルナ様は、主に王宮の雑用係をしていただきます。ついでにルードヴィヒ様の身の回りの世話もゆくゆくはやってもらいます。やることは王宮の使用人と同じと思ってください」
だが、フランツの返事は予想外なものだった。エルナの目が点になる。
「不服ですか? それもそうですよね。あなたは今まで、世話をしてもらったばかりの令嬢様ですからねぇ」
そんなエルナを見て、フランツは微笑んではいるがなぜかとても棘のある言い方をしてきた。今までの優しくエルナを気遣うフランツは、一体どこへ行ったのか。はたまた、これが彼の本性だったのか。だとしたら、本性を見せるタイミングがよくわからないなとエルナは思う。
「別にここでの〝王太子妃〟なんてただの肩書だけですよ。噂で聞いているでしょう? ヘンデルから嫁いできた女性たちが、どのように扱われているか。それにエルナ様の場合、時が経てば王太子妃ですらなくなりますしね」
決して笑顔は崩さずに、丁寧な口調で毒を吐いてくるフランツにエルナは呆然とする。やっぱり彼は、元々こういう性格の人なんだとエルナははっきり理解した。物言い的に、エルナとルードヴィヒは離縁前提なこともフランツは知っているようだ。
(たしかに、いなくなる相手に王妃教育や国のことを学ばせたって時間の無駄よね。噂は本当で、これは王太子妃だからといって優遇される贅沢な日々は送れないぞって忠告みたいなものかしら。私はきっとここにいる間、散々こき使われるのでしょうね。でも――なんでだろう。私、雑用係と聞いてほっとしてる)
エルナからしたら、今までとやることがほぼ同じだからだ。掃除をするのが屋敷から王宮に変わり、世話をする相手が妹からルードヴィヒに変わるだけ。雑用だって、ずっとやってきたから慣れっこである。
フランツやルードヴィヒ含め、ほかの王宮の竜人たちもエルナのそんな事情を知らないだろう。肩書だけを見て、甘やかされて育った聖の魔力を持つ伯爵令嬢だと思い込んでいるのだ。
「ちなみにエルナ様の指導係は私が担当いたします。私は完璧主義なので、性格上厳しくなるかもしれませんが……泣いても甘やかしませんのでご覚悟を」
頬杖をつきながら、今日いちばんの笑顔を見せるフランツ。昨日、少しでもフランツをいい人だと思ってしまった自分の浅はかさを恥じつつ、エルナもまたとびきりの笑顔を返す。
だが、フランツの返事は予想外なものだった。エルナの目が点になる。
「不服ですか? それもそうですよね。あなたは今まで、世話をしてもらったばかりの令嬢様ですからねぇ」
そんなエルナを見て、フランツは微笑んではいるがなぜかとても棘のある言い方をしてきた。今までの優しくエルナを気遣うフランツは、一体どこへ行ったのか。はたまた、これが彼の本性だったのか。だとしたら、本性を見せるタイミングがよくわからないなとエルナは思う。
「別にここでの〝王太子妃〟なんてただの肩書だけですよ。噂で聞いているでしょう? ヘンデルから嫁いできた女性たちが、どのように扱われているか。それにエルナ様の場合、時が経てば王太子妃ですらなくなりますしね」
決して笑顔は崩さずに、丁寧な口調で毒を吐いてくるフランツにエルナは呆然とする。やっぱり彼は、元々こういう性格の人なんだとエルナははっきり理解した。物言い的に、エルナとルードヴィヒは離縁前提なこともフランツは知っているようだ。
(たしかに、いなくなる相手に王妃教育や国のことを学ばせたって時間の無駄よね。噂は本当で、これは王太子妃だからといって優遇される贅沢な日々は送れないぞって忠告みたいなものかしら。私はきっとここにいる間、散々こき使われるのでしょうね。でも――なんでだろう。私、雑用係と聞いてほっとしてる)
エルナからしたら、今までとやることがほぼ同じだからだ。掃除をするのが屋敷から王宮に変わり、世話をする相手が妹からルードヴィヒに変わるだけ。雑用だって、ずっとやってきたから慣れっこである。
フランツやルードヴィヒ含め、ほかの王宮の竜人たちもエルナのそんな事情を知らないだろう。肩書だけを見て、甘やかされて育った聖の魔力を持つ伯爵令嬢だと思い込んでいるのだ。
「ちなみにエルナ様の指導係は私が担当いたします。私は完璧主義なので、性格上厳しくなるかもしれませんが……泣いても甘やかしませんのでご覚悟を」
頬杖をつきながら、今日いちばんの笑顔を見せるフランツ。昨日、少しでもフランツをいい人だと思ってしまった自分の浅はかさを恥じつつ、エルナもまたとびきりの笑顔を返す。