竜王太子の生贄花嫁を拝命しましたが、殿下がなぜか溺愛モードです!?~一年後に離縁って言ったじゃないですか!~
なにを言われようが、ただ黙って笑っていればいい。誰の反感も買わないように――これは、アーレントの屋敷にいるときにエルナが学んだ、自分を守るひとつの術だった。
「一通り終わったな。……おい、あとはパーティーが終わるまで好きにしてていいぞ」
そうしているうちに挨拶周りは終わり、エルナはルードヴィヒから残りは自由時間だと告げられる。
「俺はまだいくつか用事が残っている。ここからは別行動だ。わからないことがあったらフランツや侍女たちに聞け」
そう言って、ルードヴィヒは大広間にエルナを置いてどこかへ行ってしまった。
(……好きにしてていいって言われても)
本当に好き放題していいはずがないことはわかっている。そんなことより、純粋になにをしたらいいかわからない。
エルナは気づく。誰かにあれをやれこれをやれと命令されるほうが、自分にとって動きやすくラクなのだということに。
(こんなんじゃ奴隷に耐えられても、その後自由にされたら途方に暮れそうね……)
普通、人は自由を好み求めるものだ。だが、特にやりたいことも夢もないエルナにとって、自由は必要ないものだった。
周囲をきょろきょろと見回してみる。フランツも、普段よく喋る侍女たちも接待で忙しそうだ。大広間でぽつんと取り残されているエルナに進んで話しかける竜人はひとりもおらず、エルナはしばし時間を持て余すことになった。
(このまま突っ立っていても仕方ないわ。せっかくだし楽しまないと)
エルナはやっと動きだし、まずは大広間に並ぶたくさんの料理を楽しむことにした。そしてまっさらな皿を手に取ったそのとき――どこからか視線を感じて顔を上げる。すると、赤髪の令嬢とばっちり目が合った。彼女はエルナと目が合っても逸らすことなく、じぃっと現在進行形で熱い視線を送り続けている。
(……誰だろう? とりあえず、気づかなかったことにしよう)
用があるなら話しかけてくるはずだ。それに、もしかしたら私じゃない誰かを見ているのかもしれないし。
エルナはそう思い、何事もなかったかのように皿に気になる料理を乗せていく。食べきれそうな量だけ取り終えると、大広間の隅っこで竜人たちのダンスや談話をつまみにそれらを平らげた。
「一通り終わったな。……おい、あとはパーティーが終わるまで好きにしてていいぞ」
そうしているうちに挨拶周りは終わり、エルナはルードヴィヒから残りは自由時間だと告げられる。
「俺はまだいくつか用事が残っている。ここからは別行動だ。わからないことがあったらフランツや侍女たちに聞け」
そう言って、ルードヴィヒは大広間にエルナを置いてどこかへ行ってしまった。
(……好きにしてていいって言われても)
本当に好き放題していいはずがないことはわかっている。そんなことより、純粋になにをしたらいいかわからない。
エルナは気づく。誰かにあれをやれこれをやれと命令されるほうが、自分にとって動きやすくラクなのだということに。
(こんなんじゃ奴隷に耐えられても、その後自由にされたら途方に暮れそうね……)
普通、人は自由を好み求めるものだ。だが、特にやりたいことも夢もないエルナにとって、自由は必要ないものだった。
周囲をきょろきょろと見回してみる。フランツも、普段よく喋る侍女たちも接待で忙しそうだ。大広間でぽつんと取り残されているエルナに進んで話しかける竜人はひとりもおらず、エルナはしばし時間を持て余すことになった。
(このまま突っ立っていても仕方ないわ。せっかくだし楽しまないと)
エルナはやっと動きだし、まずは大広間に並ぶたくさんの料理を楽しむことにした。そしてまっさらな皿を手に取ったそのとき――どこからか視線を感じて顔を上げる。すると、赤髪の令嬢とばっちり目が合った。彼女はエルナと目が合っても逸らすことなく、じぃっと現在進行形で熱い視線を送り続けている。
(……誰だろう? とりあえず、気づかなかったことにしよう)
用があるなら話しかけてくるはずだ。それに、もしかしたら私じゃない誰かを見ているのかもしれないし。
エルナはそう思い、何事もなかったかのように皿に気になる料理を乗せていく。食べきれそうな量だけ取り終えると、大広間の隅っこで竜人たちのダンスや談話をつまみにそれらを平らげた。