竜王太子の生贄花嫁を拝命しましたが、殿下がなぜか溺愛モードです!?~一年後に離縁って言ったじゃないですか!~
フランツは、たしかにこう言っていた。そして、エルナははっとする。
(私の話を聞いて笑っていたから、てっきり馬鹿な妄想をしていると思われたんだって解釈していたけど――フランツさんはひとことも、竜にならないとは言っていない)
そう、フランツは、エルナの発言に笑いこそしたが、否定もしていなかった。
「……どうして俺があんな姿になっていたか、お前には教えてやろう。どのみち、正体はバレてしまったんだからな」
ルードヴィヒは、エルナに竜人の〝先祖返り〟の話を始めた。
「シェーンベルグの竜人たちは、天候が荒れる日にどういうわけか先祖返りするんだ。大体は羽が生えたりツノが生えたり尻尾が生えたり――身体の一部が竜化する。まぁ、先祖返りにも個人差があって、しないものはまったくしない。ついでに、十六歳から三十歳くらいまでが最も先祖返りが起こりやすく、それ以降は年齢を重ねると同時になくなっていく」
言われてみると、嵐が続いたこの数日、エルナはおかしく思う箇所がいくつかあったことを思い出す。侍女たちが普段被らない帽子をかぶっていたり、身体を覆うような大きな服を着ていたり――あれは、先祖返りが起きていたからなのか。
(隠しているということは、みんな先祖返りが起きることをよく思っていない……? なんでだろう。かっこいいのに)
人間のエルナ視点ではそう思うが、竜人たちは違った。彼らは美しいものを好む種族。祖先へのリスペクトはあるものの、竜の姿を美しいと思うものはあまりいなかった。今の人間の姿の方が、ずっといいとほとんどの者が思っている。
「そして俺たち竜王族の血を引く者は、竜の血が濃く流れているせいか、完全な竜の姿にまで先祖返りしてしまう。……あんな姿、公に見せられるものじゃあない。だから代々の王族たちは嵐がくると、いつもこの地下室に身を隠していたんだ」
この地下室は、そのために作られたものだった。だから部屋も綺麗に保たれていたのだ。
「先祖返りで、竜の姿に……」
そんな話、ヘンデルでは一切聞いたことがない。表に出していない情報なのかもしれない。
「本来なら、人間のお前にあの姿を見せるつもりは毛頭なかった。歴代の王たちもみんな、嫁いできたヘンデルの妻たちに見られないよう努めてきたからな」
(私の話を聞いて笑っていたから、てっきり馬鹿な妄想をしていると思われたんだって解釈していたけど――フランツさんはひとことも、竜にならないとは言っていない)
そう、フランツは、エルナの発言に笑いこそしたが、否定もしていなかった。
「……どうして俺があんな姿になっていたか、お前には教えてやろう。どのみち、正体はバレてしまったんだからな」
ルードヴィヒは、エルナに竜人の〝先祖返り〟の話を始めた。
「シェーンベルグの竜人たちは、天候が荒れる日にどういうわけか先祖返りするんだ。大体は羽が生えたりツノが生えたり尻尾が生えたり――身体の一部が竜化する。まぁ、先祖返りにも個人差があって、しないものはまったくしない。ついでに、十六歳から三十歳くらいまでが最も先祖返りが起こりやすく、それ以降は年齢を重ねると同時になくなっていく」
言われてみると、嵐が続いたこの数日、エルナはおかしく思う箇所がいくつかあったことを思い出す。侍女たちが普段被らない帽子をかぶっていたり、身体を覆うような大きな服を着ていたり――あれは、先祖返りが起きていたからなのか。
(隠しているということは、みんな先祖返りが起きることをよく思っていない……? なんでだろう。かっこいいのに)
人間のエルナ視点ではそう思うが、竜人たちは違った。彼らは美しいものを好む種族。祖先へのリスペクトはあるものの、竜の姿を美しいと思うものはあまりいなかった。今の人間の姿の方が、ずっといいとほとんどの者が思っている。
「そして俺たち竜王族の血を引く者は、竜の血が濃く流れているせいか、完全な竜の姿にまで先祖返りしてしまう。……あんな姿、公に見せられるものじゃあない。だから代々の王族たちは嵐がくると、いつもこの地下室に身を隠していたんだ」
この地下室は、そのために作られたものだった。だから部屋も綺麗に保たれていたのだ。
「先祖返りで、竜の姿に……」
そんな話、ヘンデルでは一切聞いたことがない。表に出していない情報なのかもしれない。
「本来なら、人間のお前にあの姿を見せるつもりは毛頭なかった。歴代の王たちもみんな、嫁いできたヘンデルの妻たちに見られないよう努めてきたからな」