交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
吉鷹を授かったことで跡継ぎの重圧から解放されたのだろう。いっときは夫婦らしく過ごしていたようだが、溝は埋められなかったと父親の親しい友人から聞いた。
吉鷹も同じ道を辿るのは幼い頃から覚悟していたため、見合いをして結婚が決まっても向き合う気持ちは起きなかった。どのみち両親のように冷めた関係になるのなら、最初からあたためる必要はないと。
自分に興味を示さない吉鷹に対して、荒牧結愛が不満を感じるのは当然だっただろう。とはいえ、最初から好きな男がべつにいたのなら、彼女自身も吉鷹に期待はしていなかっただろうが。
その彼女に逃げられ一時はどうなるかと悲観したが、精神的に落ち着いたのは、なんとか道筋ができホッとしているのもあるだろう。
茉莉花といると肩肘張らずに自然体でいられ、気持ちが楽なのもある。なにより彼女と話していると楽しい。
吉鷹は自然と頬が緩むのを押さえられなかった。
「今日、このあとはフリーだったな?」
午後のスケジュールは空白。なにも入っていないのは昨日確認してある。
「はい、ございません。どこかへお出かけですか?」