交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
打ち合わせが終わったのは、それから一時間弱が経った頃だった。
「お待たせしてすみません」
吉鷹のもとへ茉莉花が慌ててやってくる。
「約束の時間、過ぎてしまいましたね。ごめんなさい」
「いや、楽しかった」
「……楽しかった?」
茉莉花が首を傾げる。ひとりで待っているだけなのに、なにが楽しかったのかわからないのも無理はない。
「まあいい。行こう」
吉鷹は口元に笑みを浮かべ、茉莉花を伴ってサロンをあとにした。
ここへやってきたときに広がっていた青い空は、早くも薄紫色へ変わりつつある。
吉鷹は隣を歩く茉莉花の手を取った。なんとなくそうしたい気分だったのだ。
瞬間、彼女は肩をビクンと弾ませて手を引っ込めようとしたが、強く握って阻止する。