交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「よくわかったな」
「クルーズ船で執り行う挙式も取り扱っているので、何度か私も裏方で乗っているんです」
「それじゃ、船上での食事なんて新鮮味に欠けるか」
「あ、いえ、そんなことはありません。乗るときは仕事に手いっぱいで、船上を楽しむ余裕はないので。だからちょっとワクワクします」
茉莉花が急いで否定する。彼女には意見をはっきり述べる手厳しい面があるいっぽう、相手を気遣う一面もある。正直で素直な性格なのだろう。
「それはよかった」
「でも、ちょっと失敗しました」
エンジンを止め、吉鷹がドアを開けようとしたところで彼女がため息をつく。
「なにが失敗?」
「入籍するのはわかっていたんだから、ワンピースとか、もっときれいめの洋服を着てくればよかった」
がっかりしたように自分の格好を見た。
「その服も十分綺麗だけど」
白いコットンリブの深いⅤネックニットにキャメル色のプリーツスカートは、彼女によく似合っている。