交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「お世辞ならいらないです」
「俺がお世辞を言わないのは茉莉花も知ってるだろ」
彼女が吉鷹に抱いている印象は、血の通わない冷徹人間に違いないから。結婚相手に冷たい素振りを取っていれば、それも当然だが。
しかしそんな憂いとはべつに、吉鷹とのお祝いディナーにおしゃれをしたかったと訴えた茉莉花はいじらしく思えた。
「……では、大丈夫ってことで合ってますか?」
「正解。さぁ行こう」
吉鷹は運転席から降りて足早に助手席に回り込み、茉莉花が手をかけたドアを開けて彼女を降ろした。手を繋ぐのはもちろんお約束だ。
彼女の手を引いてクルーズ船に乗り込み、舞浜や東京ディズニーリゾートを経る、およそ二時間半のディナークルーズがはじまる。
映画のワンシーンを思わせる優雅な船内レストランに案内され、吉鷹たちはテーブルに着いた。何組かのカップルがいるが、テーブルがゆったり配置されているため、それほど気にはならない。
茉莉花は目を輝かせて窓の外に広がる景色に見入っていた。ライトアップされたレインボーブリッジの下をくぐり、右手に品川ふ頭を臨む。神秘的な夜景が窓の外に広がった。