交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
翌朝、まだ目覚めない吉鷹をベッドに残し、茉莉花は身支度を終えてマンションを出た。
朝食用に作ったサンドイッチは、彼の分もテーブルに〝食べてください。仕事へいってきます〟と書いたメモと一緒に置いてある。
吉鷹は、妻だからといって家事を率先してする必要はないと言う。掃除はハウスキーパーに依頼すればよく、洗濯や食事作りも交代でやろうと提案してくれた。
茉莉花への気遣いが感じられ、心がこそばゆい。
結婚生活のスタートは、どうにかうまく切れたようだった。
出社してすぐ、マネジャーの菊川に結婚の報告を済ませた。その相手が、茉莉花が新婦を演じたときの新郎だと知ったときには、椅子から転げ落ちそうになるほどの驚きぶりだった。
「伏見さん――いや、観月さんに折り入って頼みたいことがあるんだけど」
初めて彼の姓で呼ばれ、思わず背筋が伸びる。しかもマネジャー直々の頼みとはなにか。
「以前、ジュエリーデザイナーの鷲見萌子さんを担当したことがありましたよね」
「ええ、はい」