交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
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茉莉花が出勤してから目覚めた吉鷹は、テーブルに置かれたサンドイッチと直筆のメモを見つけてため息をついた。彼女と一緒に起きて朝食を食べようと考えていたのに寝過ごしてしまったのだ。
スマートフォンに目覚ましをセットしたはずが、まったく聞こえていなかったらしい。それほど深く寝入っていたようだ。
それもそのはず。
昨夜は隣に寝る茉莉花を意識して、なかなか寝つけなかった。直前に交わした濃密なキスのせいもあるだろう。彼女の反応のかわいさに理性が崩壊しかけていた。
聖人君子ぶって『無理強いはしない』と言ったのをどれほど後悔したことか。
悶々としつつ、ただただ早く朝がくるのを祈り、寝息に見せかけていたのを彼女はきっと知らないだろう。
顔を洗って着替え、苦めのコーヒーと一緒に茉莉花が作っていったサンドイッチを頬張る。
定番の玉子サンドは細かく刻まれたチーズも入ってクリーミーな味わい、ハムサンドはトマトの酸味がまだ眠気の残る頭にいい刺激だ。
吉鷹は今朝、茉莉花をマリアンジュまで送っていくつもりだった。職場の前に車を横づけにし、新婚よろしく〝いってらっしゃいのキス〟でもしようと画策していたのだ。
そのときの茉莉花の反応をあれこれ想像して、ひとりニヤけていたのが情けない。
「俺はアホか」
茉莉花といると、らしくない自分がちょくちょく現れてくる。しかしそんな自分が嫌だとも思わなかった。