交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
得体の知れぬ感情が胸の奥深くから沸き上がる。モヤモヤとは違う。センチメンタルでもない。
とてつもない熱量のフラストレーションだった。
彼女を好意的に感じつつあるのは知っている。しかしコントロールが効かないほど、好きなっていたのだと自覚したのは初めてだった。
ふたりの背中が見えなくなる寸でのところで、吉鷹も足を前に出す。見失わないよう、長い足を遺憾なく発揮して大股で追いかけた。
親しげにしゃべりながら、時折顔を見合わせて笑うふたりを見て、ふと勘繰る。
もしかしたら茉莉花には好きな男がいたのではないか。恋人はいないと言っていたが、それは好きな男の存在を否定するものとは違う。
驚くほど疑心暗鬼になっていると、ふたりはある店に吸い込まれるようにして入っていった。ジュエリーショップだ。
(なぜ、そんな店に……?)
もはや見過ごすわけにはいかない。茉莉花は自分の妻なのだから。
吉鷹は足を速め、ふたりを追いかけるようにして店に踏み込んだ。
「いらっしゃいませ」