交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
その言葉に〝紹介したらすぐに出てこいよ〟というのを暗に含ませる。茉莉花は戸惑い気味に頷いたが、それに気づいたかどうか。
吉鷹は菊川に目礼し、ジュエリーショップから出た。
(俺はなにをやってるんだ。ありえない)
嫉妬に狂い、一緒にいる男にいきなり突っかかるなど無様すぎて笑えない。矢も楯もたまらず店に踏み込んだが、自分の株を下げただけ。大人げないにもほどがある。
ジェラシーは自分とは無縁のものだと思っていた。これまでそんな感情を抱いたこともない。
相手に対して、そこに至るまでの興味がなかった。当然ながら、誰かに奪われたらどうしようなどと焦った経験もない。
急に自覚した茉莉花への想いは整理がつかないまま、吉鷹はジュエリーショップの前でビルの隙間から上りかけた月を睨んでいた。