交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

*****

まさか吉鷹がここへ現れるとは思いもせず、想定外の展開に驚いたが、それよりも彼のただならぬ様子が気になっていた。

(もしかしてヤキモチを焼いてくれたのかな……。って、まさかね)

一瞬そう考えたが、いや違うと否定する。飄々とした彼が、茉莉花に対してそんな感情を抱くとは思えない。

好意的なのは感じるが、きっと恋とも愛とも違う。本物の夫婦を目指してはいても、そこにあるのは連帯感や同志に対する感情。仲間意識のようなものだろうから。

そんな結論に至り、なぜか胸がもやっとした。

菊川にデザイナーを引き合わせてジュエリーショップを出ると、吉鷹は歩道の手すりに体をもたせかけていた。

軽くクロスして投げ出した足に、行き交う人が躓かなかっただろうかと余計な心配をする。腕組みをした顔はわずかに不機嫌そうだ。


「お待たせしました」
「車はこっち」


ぶっきらぼうに告げてマリアンジュの方向を指差す。おそらくいつものコインパーキングだろう。
< 154 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop