交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「いえ」
首を横に振るが、どうしても顔がにやける。茉莉花も自慢できるほどの腕前ではないにしろ、さすがに彼よりは作れる自信がある。実家暮らしのときは母親に頼りきりだったが、ひとり暮らしで多少は鍛えられたはずだ。
「じゃあ、その顔はなんだ」
不服そうに言う割に、茉莉花の頬を軽くつねった吉鷹の顔も綻んでいた。それも、意地悪というよりは優しい眼差しだ。
意図せず目が合い、なんとなく気恥ずかしい。不自然に逸らして、「早速作りましょうか」とはぐらかした。
「俺はなにをすればいい?」
「じゃ、吉鷹さんにはナンを担当してもらおうかな」
「俺にできるのか?」
「目玉焼きが上手に焼けるならバッチリです」
珍しく自信のなさそうな吉鷹がおかしくて、ついクスクス笑いながら親指と人差し指で丸を作る。
「手抜きしてナンのもとを買っちゃいましたから心配いりません。これ、おいしいんですよ」