交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

食事後、お風呂に入り終えた茉莉花は、寝室のベッドにちょこんと座り、未だかつて経験のない緊張に包まれていた。ハワイで突発的にバージンロードを歩いたときとは比べ物にならない。

ナンは上手に焼けたし、バターチキンカレーも上手にできた。しかし前触れもなく吉鷹に想いを打ち明けられ、茉莉花もその気持ちに応える展開になったため、『おいしいね』と感想を言い合いながらも心ここにあらず。頭の中は急に迎えた展開でいっぱいだった。

うわの空で食べていたため中身のない皿をスプーンで掬ったり、ちぎったナンが吉鷹のほうに飛んでいったり、挙動のおかしさに苦笑いだった。

お互いの心が育つまで〝キスのその先〟はお預けと決めていたが、打ち明け合った今、その縛りはない。

(やっぱり〝する〟のかな……)

入れ違いでお風呂に入った彼を待つ茉莉花の心臓は、これ以上は出せないスピードで心拍を刻んでいた。これまでに何度か交わした濃密なキスを思い出し、どぎまぎして収拾がつかない。


「どうしよう……!」


切実な気持ちを声に出したときだった。ドアが開き、吉鷹が入ってくる。
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