交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

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茉莉花をマンションに送り届けたあと、吉鷹は遅めの出勤となった。

秘書室に顔を出してから副社長室へ向かうと、すぐ後ろから永長が追いかけてくる。吉鷹の晴れやかな表情とは対照的に、なぜか険しい表情だ。


「その顔はどうした。俺の顔を見るのがそんなに嫌なのか」
「副社長、じつは……」


吉鷹の冗談をあっさりスルー。妙なところで言葉を止めた永長は、副社長室に入るや否や続ける。


「荒牧氏がいらしてるんです」
「荒牧? 『新都銀行』の頭取か」


新都銀行は観月建設のメインバンクである。


「いえ、そのお嬢様です」
「……え?」
「ですから、荒牧結愛氏です」


副社長室にはふたりしかいないというのに、永長は口元に手をあてて吉鷹に耳打ちするようにした。
吉鷹の元フィアンセであり、ハワイで挙式当日に逃亡した彼女がなぜ今さらここを訪れるのか。
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