交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「私にはやっぱりあなたしかいないと悟ったから」
「キミの真実はいったいどこにあるんだ。だいたい俺は『キミを愛するつもりはない』とか『婚姻は形だけのものだ』など言った覚えはない」
「……なんの話?」
身に覚えがないのか、結愛はポカンとした。
「ハワイの挙式でヘアメイクの担当にそう愚痴を零したのをもう忘れたのか」
結愛が目を大きく見開く。思い出したのだろう。
茉莉花はその言葉に同情して、逃亡に手を貸したのだ。切実に訴えかける結愛に共感し、自分の職務遂行よりも結愛の心を守るほうを取った。
結婚する前から気持ちは冷めきっており、はなから愛は求めていなかったが、吉鷹はそんな辛辣な言葉を投げつけるほど冷酷ではない。ましてや生涯をともにする伴侶に対して。
それが、たとえ妻という立場の人間が必要だから至った結婚だとしても。
とはいえ茉莉花に対して宣言したように、彼女と愛を育んでいこうとは考えていなかったが。茉莉花に指摘されて初めて、自分の至らなさに気づいたのだ。