交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「あのときは……逃げるために仕方がなかったの」
「好きな男はどうしたんだ」
「……お別れしました。そしたら吉鷹さんのことが急に気になって。婚約者でいたときにはわからなかったんだけど、きっと心の底ではあなたへの想いが根づいていたの」
なんて都合のいい理屈だ。
「離れて初めて気づく想いってあるでしょう?」
「それで俺との結婚を仕切りなおしたいと?」
結愛は元気いっぱいに「はい」と頷いた。
いったいどういう思考回路をしているのか。厚顔無恥とは彼女のような人間を指すのだろう。無邪気さを通り越し、度が過ぎるにもほどがある。
「社長就任のパーティーはたしかもうすぐよね。今からならまだ私を妻としてみなさんに紹介できる」
「悪いが、俺にはもう妻がいる」
「……え?」
吉鷹は左手を裏返しにして彼女に見せた。薬指には結婚指輪が光り輝いている。
茉莉花と想いを通わせたあと、改めて作ったものだ。