交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
嘘は言えず、彼女とのやり取りを話して聞かせる。
こめかみに手をあててふらついた母親を父親がとっさに支えた。
「あの子ったら、またそんなことを……!」
「また?」
母親の言葉に引っ掛かり聞き返すが、茉莉花の言葉は耳に届いていない様子。隣に立つ父親に「どうしましょう」と縋りついた。
「とにかくホテルへ戻ろう。結愛を追いかける以外にない」
「だけど、あの子は言い出したら聞かないわ」
ふたりがそんなやり取りをしていると、新郎とその両親が控室に悠然と現れた。
「観月さん、吉鷹さん、申し訳ありません!」
結愛の両親が三人に向かって平身低頭謝る。
「大変なことになりましたね」
吉鷹の父親は苦い表情を浮かべ、そんなふたりを見下ろした。