交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

「皆様、これより株式会社観月建設第四代新社長就任式を開催いたします。本日、観月吉鷹新社長就任、ならびに観月徳之助新会長就任という節目の日を迎え、我が社の歴史の一ページが刻まれることに……」


開会の辞を述べる司会者に会場中の視線が注がれる。このあとそこに立つ自分を想像して膝が震えてきた。
ここに集まるのは、日本を代表する企業のトップの面々。そんな彼らの前に新社長の就任発表と同時に妻として紹介されるのだ。厳しい目線で見られるのを覚悟しなければならない。

(……大丈夫。これは武者震いだから)

自分を掻き抱き、ふと視線を投げかけると、吉鷹と目が合った。〝大丈夫か?〟と彼の口が動く。

不安になっているのが伝わってしまったのだとしたら申し訳ない。〝大丈夫〟と口パクで返したが、そうは見えなかったのか彼がふっと笑みを零す。〝本当かよ〟と疑う感じだ。

もう一度〝大丈夫ですから〟と念押ししていると、彼の隣に立つ永長が茉莉花を見た。

ハッとして咄嗟に取り繕った笑顔で会釈する。笑いを堪える吉鷹の肩が揺れた。

その後、新会長である徳之助の挨拶と続き、いよいよ新社長、吉鷹がステージに上がった。
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