交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
司会者に紹介され、会場内が大きな拍手で沸く。彼がスタンドマイクの前に立つと、招待客は水を打ったように静まり返った。
「この度、株式会社観月建設の代表取締役社長に就任することとなりました、観月吉鷹でございます。皆様とともに建設業界のさらなる発展に向けた課題に取り組む機会をいただき、大変光栄に思います」
吉鷹の低く、よく通る声が響き渡る。なににも動じない堂々とした姿が凛々しく、新社長に相応しい精悍な顔つきだ。それは茉莉花が初めて見る夫の雄姿だった。
いったんそこで言葉を切り、吉鷹が会場を見渡してからさらに続ける。
「国内市場の縮小が懸念される昨今、建築業界においてもっとも重要なのは、世界の旺盛なインフラ需要を取り込み、受注機会の拡大を図ることです。観月建設では……」
熱く語る吉鷹の言葉に招待客全員が聞き入る。
茉莉花はその姿を眩しい想いで見つめつつ胸を高鳴らせ、彼への気持ちを再認識していた。
「ここでみなさんに紹介したい人がいます」