交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「だけど今日は吉鷹さんの結婚をお披露目する場でしょう? 妻の私が来なければはじまりませんから」
「……キミはなにを言ってるんだ」
とても正気とは思えない結愛の口ぶりに吉鷹も唖然とする。
それにかまわず、結愛はヒールの音を響かせてステージに上がった。
司会者も、永長も驚きのあまり固まって立ち尽くしている。
「みなさん、私が吉鷹さんの妻だという証明ならここにあります」
結愛が手にしていた紙を招待客に向かって突き出す。それは、吉鷹と結愛の挙式の招待状だった。たしかにふたりは連名で記され、妻が結愛だというのがわかる。
しかしそれは、彼女が逃げ出す前の話。実際に結婚し籍を入れたのは茉莉花だ。
自信を持って吉鷹の妻だと名乗れるのは茉莉花のほうなのに、結愛の登場により会場が異様な空気で満ちていく。ざわめきが広がり、「なになに?」「どういうことだ?」と囁き合う声が方々からあがる。好奇の目が茉莉花にいっせいに向けられた。
加速度をつけていく鼓動が、茉莉花の胸を苦しめる。