交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
いつか結婚式を挙げるならフランスの古城で。
それは、この仕事をしながら思い描いている密かな夢だ。恋愛経験がないからこそ、ロマンティックなものやお姫様への憧れが強い。
もしも彼のプロポーズを受け入れるなら、その夢は断たれると美春は言いたいのだろう。なにしろ結婚式はすでに挙げてしまったから。
「そろそろお客様お迎えの時間です。配置につきましょう」
話し込んでいた茉莉花たちにスタッフが声をかけてきた。
ハッとしてたしかめた腕時計は十時半ジャスト。美春と揃って「はい」と答える。
「私だったら引き受けると思う」
去り際、美春は茉莉花にそう囁き、先に歩いていった。
(……私はどうする?)
自分に問いかけるが、心は決まらなかった。