交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
ガラス扉が閉まり、彼の背中が左方向に消えていく。あまりにも横暴だ。
どうあがいても彼から逃れられない予感がしてならない。強引な誘いが茉莉花を憂鬱にさせる。
「茉莉花、今のって観月様でしょう? 彼の話に乗ることに決めたの?」
立ち尽くしている茉莉花に美春が声をかけてきた。興味津々に顔を覗き込む。
「ううん、まだ……」
「それじゃ彼、どうしてここへ?」
「デートしようって。ふたりの距離を縮める努力だとか」
「健気! 茉莉花の言葉がよっぽど効いたんじゃない? 式直前に花嫁に逃げられて、考えを改めようと彼も頑張ってるんだよ」
美春が茉莉花の背中をトントン叩く。痛くはないものの、その勢いに足がふらついた。
「もちろんオッケーしたんでしょう?」
「返事もさせてもらえなかった」
行くとも行かないとも。どちらかと言えば断るつもりだった。