交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

「妻になる女性を褒めるのは当然だろう」


なるほど。彼は、夫婦としての距離を縮めるために敢えて賞賛を口にしているのだ。ステップのひとつ、恋するためのおまじないみたいなもの。

そうわかってはいても男性に褒められ慣れていない心は奔放なもので、勝手に舞い上がるから困りものだ。


「さすがに今日は名前で呼んでもらわなければ困る」
「……ですよね」


これから向かうのは彼の実家であり、会うのは両親。名字でなく名前で呼ぶのが自然だろう。
ついこの前まで〝観月様〟だったため、〝観月さん〟の時期がほとんどないまま下の名前とは難易度が高い。


「頑張ります」
「素直でよろしい」


吉鷹は満足そうに笑った。
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