交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

およそ三十分後、車は警備員がふたり立つ物々しいゲートをくぐり抜けていく。茉莉花の乗った車が通り過ぎると、鉄製の立派な門は金属音を立てながら再び閉まった。


「まさかとは思いますが、ここにご両親が住んでいらっしゃるんですか?」
「そのまさか」
「さすが過ぎてなんて言ったらいいのか……」


国家の要人のような警備体制だ。日本屈指のスーパーゼネコンのトップとなると、それと同等クラスなのかもしれない。
今になって、とんでもない相手との結婚を了承してしまったと後悔に包まれる。


「やめときゃよかったとか言うなよ?」
「そう言いたいです。今すぐ引き返したい」
「女に二言があってはならない」
「それを言うなら〝男に二言〟です」


冗談だろうが、つい訂正する。吉鷹は茉莉花をリラックスさせようとしたのだろう。


「細かいことは気にするな。ここまで来たら、もう引き返すのはナシだ」
「……はい、わかってます」


結婚を了承した以上、今さら逃げ出さない。
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