交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
それもとびきり富裕層を相手にした、庶民には絶対に手の届かない住宅。生活感がまるでない。
「一応、人が住んでる」
茉莉花の率直な感想に真面目に答えた吉鷹はソファを薦めた。
「……失礼します」
ひと言断って座ろうとした刹那、静かなスリッパの音とともに吉鷹の両親が現れた。
下ろしかけた腰を上げ、背筋を伸ばす。ハワイでも一度顔を合わせているため初対面ではないが、あのときと今日とでは立場が違う。
どちらも六十歳代だろう。父親はグレーの薄手のセーターにスラックス姿、母親はアップルグリーンのアンサンブルにベージュのロングタイトスカートを穿いていた。
自宅なのにきっちりしたスタイルなのは社会的地位も関係しているのだろうか。茉莉花の両親はもっとずっとラフだ。
「こんにちは、伏見茉莉花です」