交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「お父さん、お母さん、ただいま」
声を掛けると、奥のほうからパタパタというよりはドタドタというスリッパの音がふたり分聞こえてきた。
姿を見せたふたりの格好を見て唖然とする。
「ちょっとふたりともどうしたの?」
「だってほら、茉莉花が初めて彼氏を連れてくるなんて言うものだから」
「茉莉花の彼氏さんにみすぼらしい姿は見せられんからね」
母の和美と父の哲郎がうれしそうに答える。
和美はラベンダーカラーのツーピースを着て、胸には立派なコサージュをつけている。ここぞというときに着るお気に入りの一張羅だ。一年前のちょうど今頃、同窓会があるから買ったのだとファッションショーのごとく見せられた。
哲郎にいたってはモーニング姿だった。そのまま結婚式に参列してもおかしくない出で立ちである。
娘の彼氏を迎えるには少々、いや、かなり気張り過ぎているといっていいだろう。
「初めまして、観月吉鷹と申します。勝手に歓迎ムードを感じて胸がいっぱいになっております」