私の想いが開花するとき。

 眩しい朝日に逆らいながら歩き進めて自分の家の扉を開けた。健治は家にいるようで靴が無造作に脱ぎ散らかっている。
(嫁が朝まで帰らなくてもなにも心配しないのね)
 いっさい連絡がなかったことに改めて自分の存在の意味を思い知らされる。居ても居なくても気にならない存在なのだ。いつもならきちんと靴を直してあげるが今日はそのままばらばらに飛んでいる健治の靴を横目に自分の靴をきちんと揃えた。


「ただいま」


 バクバクと心臓はうるさいのに気持ちは物凄く落ち着いている矛盾の中家に中に入る。寝室をそっと開けると健治はぐぅぐぅと寝息を立てていた。その光景にふっと笑いが込み上げてくる。ああ、やっぱり心底健治は自分に興味がないんだなぁと思いながら静かにドアを閉めた。
 ザワつく気持ちを落ち着かせるためにシャワーをさっと浴びて、インスタントのコーヒーを淹れた。明るいリビングの中ソファーに腰を下ろしコーヒーの香りをたくさん吸い込んだ。はぁと息を吐いた瞬間ガチャリとリビングのドアがあき、健治がだるそうに頭を掻きながら起きてきた。


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