俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
「ああ。俺がする」

うなずいた彼は、私の頭をそっと撫でた。

私が好きになった〝お医者さまの手〟に、涙ぐんでしまいそうになる。

手術は怖いけれど、彼に任せれば絶対に大丈夫だ。

準備が整い、顔にマスクが当てられる。

手術は全身麻酔で行われる。独特な麻酔薬のにおいがした。

何度か呼吸をしているうちに、意識が遠のく。


――そして、次の瞬間には目が覚めた。

体感的には瞬きをするほどの短い時間だったけれど、手術室にいたはずの私はすでに広い個室のベッドの上にいた。

「千里、大丈夫か?」

そばには両親がいた。

きっと隆成さんが連絡してくれたのだろう。

「……お父さん、お母さん」

名前を呼ぶと、ふたりはほっとした表情を浮かべる。

「手術は無事に成功した。もう大丈夫だからな」

「隆成さんがいてくれて本当によかったわ」

手術は二時間ほどかかり、かなり深刻な状態だったようだ。

医師が初診時に腹膜炎の診断に至らずただの胃腸炎だと見誤り、死亡するようなケースもあるのだという。

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