俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
「僕は献体の登録をしていてね、いずれはリュウセイに解剖後の縫合をお願いしているんだ」

アシェルさんは楽しそうに話を続けた。

献体とは、医学や歯学の大学で行われる人体解剖実習に、死後の体を提供することだ。

「隆成さんがアシェルさんの縫合をするんですか?」

私は目を丸くした。

「するわけがない。通常は解剖を担当した医学生が縫合までするものだ」

「それでも頼みたくなるくらいリュウセイの技術に惚れ込んでいるのさ」

「ホルマリン漬けにするくらいならしてやるが、そもそも俺はアシェルより長生きできる気がしない」

冷ややかに切り捨てる隆成さんに、アシェルさんは笑い声を上げる。

「君のほうこそ、殺しても死ななそうだが」

解剖だとかホルマリン漬けだとか、医師同士でなければちょっと猟奇的な会話だ。

「今回僕が日本に来たのは、観光のついでにあわよくばリュウセイをアメリカに連れ戻すのが目的だったんだけど、こんなにかわいらしい奥さんがいれば、難しいかな? ああ、チサトも一緒にアメリカに来るのはどう?」

「えっ」

いきなり投げかけられ、返答に窮してしまった。

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