家の中になにかいます【短編】
その間もパンツの中を弄られていた。口づけされているので、身体が跳ねるたびくぐもった喘ぎが口内で堰き止められている。
唇に糸をひかせて、離れる。それが、別れを感じてしまって。思わず、思いが漏れる。
「いかないで、寂しい」

ーーーーーーー1人にしないでほしい。


クロウの目が飛び出るくらい開かれた。
そんなに意外だったのだろうか、まさぐっていた手が止まる。

「いかないで、ほしい」

大人は君が思っているより傷つきやすいのよ。
だから予防線をいっぱい貼って、深入りする前に諦めちゃうのよ。
そんなこと知らないでしょうけど。
私と7歳ほどはなれているからなんでも受け入れてくれると思っているんでしょう。
私はそんな割り切れる女じゃないのよ。

「……ごめん」

苦悶に満ちた表情で、渋り切った言葉に体の力が抜けた。
仕方ないという自分と、彼を非難する自分とむくむく色んな感情の自分が生まれている、その間に。

「あっ!?……やめて、やめてぇ!!」

指の動きが激しくなった、前後に擦られて、芽をつままれて、痛いくらいい腫れあがって。
身体から這いあがってきた間隔に、意識が遠のくのがわかる。
ぼやけた視界に苦しそうな顔をした彼がいた気がする。視界のフレームが真っ暗に侵食されていくのをとめることができないまま、意識を飛ばした。
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