ツインソウル
小春の誕生パーティーに智樹も呼ばれた。
浩太の実家では高校時代からの付き合いのおかげで智樹も家族同然の扱いだったが、さすがに離婚再婚のこともあり智樹は訪れることを遠慮していた。
しかし浩太の両親は智樹に感謝の念も強く、自分たちは旅行に出かけるから是非気兼ねせずに楽しんでほしいという希望で参加することにした。
由香里と離婚したあとでも小春は智樹を『お父さん』、浩太を『パパ』と呼ぶ。
「泊まって行けよ。俺も明日休みだし。飲もうぜ」
「小春のパーティなんだけど」
「ごめんごめん」
智樹は高校時代に戻ったような懐かしい気がしていたが、小春の存在が皆を大人なんだと自覚させる。
「ママ達ってバンド組んでたんでしょ?なんか歌ってよ」
「お前に聴かせられるような歌あったっけ?」
浩太は懐かしそうに思いを馳せているようだ。
「世界がなんとかっての良かったよね」
「あれなら弾けそうだな。ちょっとベースとギターとってくる」
楽器は一通り浩太が持っていた。
「やるのか」
「懐かしいね。私、声出るかなあ」
浩太が楽器を持ってきて智樹に渡した。
「アンプなしだけど」
少しかき鳴らして弦の調子を見る。そして演奏が始まった。
二十年以上ぶりだろうか。
それでも三人の息はぴったりで、しかも浩太と由香里のペアを智樹が支えているような構図はずっと変わっていなかったのだということに気づく。
「すごーい。カッコいい」
小春にはまだ早いだろうと思われる曲だが、彼女の眼には格好良く映るらしい。拍手をして目をキラキラさせている。
「まだまだいけるな」 浩太が笑って言った。
「息上がってるじゃん」 由香里が笑う。
「こういうのが楽しいね」 智樹も静かに微笑んで言った。
盛り上がった後、小春が目をこすり始めたので寝かせて、なんのわだかまりのない仲間だった頃の三人に戻ったように話し始めた。
「なあ智樹。こんなこと俺がいうのっておかしいんだろうけど、結婚とまでいかなくても恋人とか欲しくはないか?」
「ほんと、浩太に言われたくないよね……」
「……」
智樹は面白そうにくすっと笑った。
「私とより戻したいとか思わない?」
由香里が浩太をちらっと見ながら訊ねる。
「悪くはないね」
「おいおい」
慌てる浩太に二人は笑った。
「智樹の仕事場じゃあ女の人の影もないし、恋人どころか気になる人もできそうにないよね」
一瞬、考えた様子の智樹を浩太は見逃さなかった。
「気になる人いるのか?」
「いや気にはなってないけど思いついた人が一瞬、出てきただけ」
「なんかすごいじゃん。そんなの智樹にしたら珍しくない?どこの誰よ」
「ほんとそんな期待するようなんじゃないよ。図書館で何回か話したことがあるだけで」
「だから誰だよ」
「アロマのとこにいた占い師の人」
「会ってたの?」
「違う違う。図書館で同じ本借りようとしてたから少し話しただけだよ。まあ。単に由香里と小春以外に話したことある女の人ってその人ぐらいなだけだった」
「お前、ほんと女っ気ない環境だなあ」
由香里は以前占ってもらった時の緋沙子の様子を思い返していた。(確かにあの様子じゃ全く何もない知人程度ね……)
「でもあの人なかなか感じいいじゃない。もうちょっと仲よくしたらどう?」
「いいよ。見かけたら話しかける程度で。結婚もしてるだろうしね」
「そう……か」
智樹から女の話が出ることが珍しかったので思わず興味を持ったが、結局のところ智樹自身が女に関心がないので膨らまない話だった。
それでも由香里は緋沙子のことを思い出し、想像の中で智樹と並べるとすごくマッチする。
今度改めて何か相談内容でも考えて緋沙子のところへ行ってみようと考えた。
そのうち夜も更け、三人とも十代の頃のように恐れを知らず明日を夢見るような気分で眠りについた。
浩太の実家では高校時代からの付き合いのおかげで智樹も家族同然の扱いだったが、さすがに離婚再婚のこともあり智樹は訪れることを遠慮していた。
しかし浩太の両親は智樹に感謝の念も強く、自分たちは旅行に出かけるから是非気兼ねせずに楽しんでほしいという希望で参加することにした。
由香里と離婚したあとでも小春は智樹を『お父さん』、浩太を『パパ』と呼ぶ。
「泊まって行けよ。俺も明日休みだし。飲もうぜ」
「小春のパーティなんだけど」
「ごめんごめん」
智樹は高校時代に戻ったような懐かしい気がしていたが、小春の存在が皆を大人なんだと自覚させる。
「ママ達ってバンド組んでたんでしょ?なんか歌ってよ」
「お前に聴かせられるような歌あったっけ?」
浩太は懐かしそうに思いを馳せているようだ。
「世界がなんとかっての良かったよね」
「あれなら弾けそうだな。ちょっとベースとギターとってくる」
楽器は一通り浩太が持っていた。
「やるのか」
「懐かしいね。私、声出るかなあ」
浩太が楽器を持ってきて智樹に渡した。
「アンプなしだけど」
少しかき鳴らして弦の調子を見る。そして演奏が始まった。
二十年以上ぶりだろうか。
それでも三人の息はぴったりで、しかも浩太と由香里のペアを智樹が支えているような構図はずっと変わっていなかったのだということに気づく。
「すごーい。カッコいい」
小春にはまだ早いだろうと思われる曲だが、彼女の眼には格好良く映るらしい。拍手をして目をキラキラさせている。
「まだまだいけるな」 浩太が笑って言った。
「息上がってるじゃん」 由香里が笑う。
「こういうのが楽しいね」 智樹も静かに微笑んで言った。
盛り上がった後、小春が目をこすり始めたので寝かせて、なんのわだかまりのない仲間だった頃の三人に戻ったように話し始めた。
「なあ智樹。こんなこと俺がいうのっておかしいんだろうけど、結婚とまでいかなくても恋人とか欲しくはないか?」
「ほんと、浩太に言われたくないよね……」
「……」
智樹は面白そうにくすっと笑った。
「私とより戻したいとか思わない?」
由香里が浩太をちらっと見ながら訊ねる。
「悪くはないね」
「おいおい」
慌てる浩太に二人は笑った。
「智樹の仕事場じゃあ女の人の影もないし、恋人どころか気になる人もできそうにないよね」
一瞬、考えた様子の智樹を浩太は見逃さなかった。
「気になる人いるのか?」
「いや気にはなってないけど思いついた人が一瞬、出てきただけ」
「なんかすごいじゃん。そんなの智樹にしたら珍しくない?どこの誰よ」
「ほんとそんな期待するようなんじゃないよ。図書館で何回か話したことがあるだけで」
「だから誰だよ」
「アロマのとこにいた占い師の人」
「会ってたの?」
「違う違う。図書館で同じ本借りようとしてたから少し話しただけだよ。まあ。単に由香里と小春以外に話したことある女の人ってその人ぐらいなだけだった」
「お前、ほんと女っ気ない環境だなあ」
由香里は以前占ってもらった時の緋沙子の様子を思い返していた。(確かにあの様子じゃ全く何もない知人程度ね……)
「でもあの人なかなか感じいいじゃない。もうちょっと仲よくしたらどう?」
「いいよ。見かけたら話しかける程度で。結婚もしてるだろうしね」
「そう……か」
智樹から女の話が出ることが珍しかったので思わず興味を持ったが、結局のところ智樹自身が女に関心がないので膨らまない話だった。
それでも由香里は緋沙子のことを思い出し、想像の中で智樹と並べるとすごくマッチする。
今度改めて何か相談内容でも考えて緋沙子のところへ行ってみようと考えた。
そのうち夜も更け、三人とも十代の頃のように恐れを知らず明日を夢見るような気分で眠りについた。