身代わり少女は主人を慕う
人買いは、そう言って銭をいくらか、その相手に渡していた。

「それにしても、兄さんも人が悪いね。残りの賃金を手元に置く為に、家族を殺すなんて。」

「しっ!誰が聞いてるか、分からないんだぞ。」

人買いは、辺りを見回した。


そんな!

残りのお金は、後で渡すって言っておいて、家族を殺すだなんて!


私は、急いで宿を出た。

暗い道の中、歩いて来た道を、走りに走った。

「早く!早く行かなきゃ!」

家族が殺される!

私は泣いては走って、走っては泣いた。

村に着いた時、辺りは静かだった。
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