Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
途中閉まっているドアに思いっきり顔をぶつけていたが、カオルはまだ寝ぼけているのか何も言わずリビングから消えていった。


「あんな素なカオル見るの初めてなんだけど」

「結構あんな感じだよ」

「そうなんだ」


最近顔を見てなかったから、更に新鮮に感じる。


「綺月ちゃん、剥きすぎだよ」

「え?…あっ、ごめん」


私は無意識に剥き終わった人参を二周目三周目と永遠とピーラーで剥いていた。

久しぶりのカオルに変に動揺してしまった。

私のこの気持ちが奈都にバレないように、数学の公式を頭の中で唱えながら野菜を切った。

その後、カオルは晩御飯を食べ終わると、寝ると言ってすぐに自分の部屋に消えていった。

カオルは私が一度家に帰りたいと言ったらなんて言うだろうか。

今日会ったら聞いてみようかと思ったが、まだその相談はしばらくは先延ばしになりそうだとあの疲れきった顔を見て思った。
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