Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
そしてまた少し急ぎ足で階段を駆け上り、私は握られた手を見ながら黙ってついて行く。

カオルが屋上の扉を開けると、外はすっかり日が暮れていた。

人が誰もいないところで話したいことがあるのだろう、だから誰もいない屋上に来たのだろう。

カオルは屋上に着くと私の手を離した。


「あっ」

「え?」


突然離されて思わず声が漏れる。

自分よりも遥かに大きい手に安心感があって、ずっと繋いでいたいと思ってしまった。


「…繋ぐか?」


私の心の内に気付いたのか、カオルが手を差し出す。


「...うん」


差し出された手を素直に握ると、カオルは膨大な息を吐いてしゃがみ込んだ。


「えっ?なに?」

「…手繋いだだけでそんな顔されると身が持たねぇんだけど」
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