【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
『叶兎くんとのはじめての会話だから絶対忘れないもん!』
いっつも振り回されて弄ばれているから、たまには仕返しだ!と言わんばかりに胸を張って口にすると、急に両肩を強い力で掴まれた。
見上げる叶兎くんの赤い瞳の奥で、怪しげな光が揺らめいた気がした。
「へぇ…俺を揶揄おうだなんていい度胸してるじゃん」
『…な、何でそんなにニコニコしてるのかな〜叶兎くん…?』
ジリジリと後退りすると、すぐに背中が後ろの壁にぶつかってしまった。
慌てて横にすり抜けて逃げようとした瞬間、私の頭のすぐ横の壁に、トンッと叶兎くんの手が突かれる。
「最初の頃の事なんて全部忘れさせてあげる」
熱を帯びた手が私の頬にそっと添えられ、叶兎くんの親指がなぞるように私の唇に触れる。
あ、これ逃げられないやつだ。と悟った私。
『ほ、ほら、そろそろ教室もどらないと!ね?』
《胡桃ー!くるみー?あれぇ、どこ行ったんだろう?》
噂をすれば、廊下で心音ちゃんの私を呼ぶ声が聞こえてきて。
ナイスタイミング…!!!と心の中で安堵するも──