【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ




『天音くん、一緒に帰ろう』

「…は、今の話の流れで何でそうなる?俺戻るつもりないって言ったよね?」

『私を連れ去った時も、今も、天音くん辛そうな顔してる。生徒会にいた時は楽しそうだったのに』



いつもの天音くんは、もっと明るくて、人懐っこい人だった。

でも今の天音くんはテンションも低いし、いつもならズカズカと人のパーソナルスペースに入ってくるくせに、逆に自分から目に見えない壁を作って、私と距離を取っている。



『やっぱり…敵だなんて思えないよ。ねえ、何か、事情があるんじゃないの?』

「まだ俺のこと信用してんだ。そんなだから警戒心がないって言われるんだよ。」

『話を逸らさないで!』

「…こう言う時に頑固なとこ、叶兎にそっくり。」



さっきから都合が悪くなると、すぐにはぐらかそうとする。

でもそれは……やっぱり私に言えない、何か深い事情があるっていう証拠なんじゃないの……?



「胡桃ちゃんには関係ないから。俺個人の問題に首突っ込んでこないで」



ぴしゃりと、初めて本気で拒絶された気がした。


今まで見せたこともないような、突き放すような冷たい壁を間に感じる。

こんな風に刃を立てて他人を拒絶する天音くんを、私は知らない。




< 257 / 406 >

この作品をシェア

pagetop