【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ




『…関係なくないよ。勝手にこんなところまで連れ去っておいて、体が勝手に動いたとか言って助けるし、』

「じゃあ敵になればいい?こんな密室で、吸血鬼の男が相手で。どうにかなると思ってんの?」

『それは…』

「……早く行けば。帰るんでしょ」



“行けば”って…。

私をここに連れてきたの貴方なんだけど…。


天音くんの横顔を見ても、もう何を考えているのか分からなかった。

ただ、その奥にかすかな苦悩がちらついているのだけは、確かに見えた。


でも本気で踏み込んで欲しくなさそうだし、私が聞いたところできっと役には立てないんだろう…。



考え込んでいると、不意に天音くんのものでは無い声が響いた。



「おい、」



ハッと顔を上げる。

扉の奥から聞こえた声。



…扉の向こうに、誰かいる。



まずい。

ここは逃げ場のない密室。


もし開けられたら、私が逃げ出そうとしていることが一瞬でバレてしまう。



「そこにいんのか?」



ドアノブがガチャ、と回される音。

私は慌てて部屋の中を見回し、近くのソファの後ろにしゃがみ込み意味を潜めた。



あれ、でもこの声どっかで…?




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