総長は、甘くて危険な吸血鬼


そう言う反応になるよね…


「お前ホントに何がしたいんだよ」

「…今は何も命令されてないから」

「命令って……なあ胡桃やっぱもう一発殴っていい?」


『なんでそうなるの!!』


声を荒げて思わず突っ込んだ。

天音くんも天音くんで、相手を怒らせないようなもうちょっとマシな返答をしてほしい。


「…まあいいわ。1番コイツをぶん殴りたいのは叶兎だろうし、アイツに任せる」


叶兎くんの怒ったところを想像したら
今の九条くんなんか優しい方な気がしてきた。

あの人が本気で怒ったら、こんなものじゃ済まない。

うん。天音くんと叶兎くんはしばらく会わせないようにしよう。


「行くぞ胡桃。一気に裏口まで逃げる、絶対俺から離れんな」


そう言って私の手を取った九条くん。


「…あー、嫌かもしんないけど今だけ我慢して。一気に走るから」


九条くんって、なんだか時々すごく年上の人に見える時がある。

私の一個下なのにすごく頼り甲斐があるというか、ぶっきらぼうで口は悪いのに、行動はいつだって私を守る方向へと導いてくれる。

叶兎くんと似た、不器用な優しさ。

九条くんに手を引かれながら、私も走り出した。


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