総長は、甘くて危険な吸血鬼
「朔を相手にするのは厄介だからな。叶兎はまだしも、他の奴らも今までは胡桃が近くにいたから平気だったけど…」
『私が近くにいたから平気だったってどういうこと?』
「…そろそろ話すべきだな。もう出口すぐそこだから、この建物から出たら全部話す。今はとにかくここから逃げるぞ」
『…?分かった。』
やっと建物の外に出ると、すぐ側にバイクが1台止まっていた。
「ほら、乗れよ」
『あ、うん!』
九条くんのバイクの後ろにちょこんと座ると、これ被っとけ、とヘルメットを渡された。
「俺は叶兎みたいに安全運転できねーからしっかり掴まっとけよ」
『えっ?!』
次の瞬間、猛スピードで急発進。
思わず九条くんの背中にしがみつく。
宣言通り、到底“安全運転”なんて呼べなくて、速度もカーブも容赦なく、こちらは必死で振り落とされまいとしがみつくしかなかった。
まあ不可抗力とはいえ叶兎くんのバイクに乗せてもらった時も別に安全運転ではなかったけど。
九条くんて丁寧なのか大雑把なのか時々分からなくなるな…
「で、さっきの話だけど」
『え、今話すの!?』
「時間ねぇから」
正直バイクから振り落とされないように掴まってるので精一杯で、今話を聞いても頭に入ってこない気しかしない。
がそうも言ってられないようなので渋々頷いた。