【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ



「朔を相手にするのは厄介だからな。叶兎はまだしも、他の奴らも今までは胡桃が近くにいたから平気だったけど…」

『私が近くにいたから平気だったって…どういうこと?』

「…そろそろ話すべきだな。もう出口すぐそこだから、この建物から出たら全部話す。今はとにかくここから逃げるぞ」

『…?分かった。』



暗い通路を抜け、ようやく建物の外へと飛び出すと、裏口の脇に黒いバイクが一台ぽつんと停められていた。



「ほら、乗れよ」

『あ、うん!』



九条くんのバイクの後ろにちょこんと座ると、これ被っとけ、とヘルメットを渡された。



「俺は叶兎みたいに安全運転できねーからしっかり掴まっとけよ」

『えっ?!』



次の瞬間、猛スピードで急発進。

思わず九条くんの背中にしがみつく。


宣言通り、到底“安全運転”なんて呼べなくて、速度もカーブも容赦なく、こちらは必死で振り落とされまいとしがみつくしかなかった。


まあ……不可抗力とはいえ叶兎くんのバイクに乗せてもらった時も、別に安全運転ではなかったけど…!


九条くんて丁寧なのか大雑把なのか時々分からなくなるな…。



「で、さっきの話だけど」



前を走る九条くんが、風を切る爆音に負けないくらいの声で言った。



『え、今話すの!?』

「時間ねぇから」



正直、今の私はバイクの凄まじいスピードに振り落とされないよう必死でしがみついているだけで精一杯なので、今そんな難しい話を聞かされたって、頭に内容が入ってくる気が全くしない。


……でも、そんなこと言ってられる状況でもなく……。




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