総長は、甘くて危険な吸血鬼
「あいつの血筋能力は…精神操作、分かりやすく言えば洗脳みたいなものだな」
『洗脳…!?吸血鬼ってそんなことまでできるの…?!』
「あぁ。…叶兎はかなり血筋が濃い家系の生まれだからそこまで影響受けねぇと思うけど…他の奴らが心配だ。今の朔は昔以上に能力が強くなってる。」
『でも、じゃあなんで私にその能力使わなかったんだろう。そしたら朔の思い通りになるのに』
私をあの場所に閉じ込めて自分の側に置いておきたいなら私にその能力を使えば良いはず。わざわざ回りくどいことをしなくてもそれで全て解決してしまう。
「それは…お前が純混血だから」
『……!そういえば、純混血は特別だって……叶兎くんにも言われた』
「純混血の人間は、俺らの能力に影響されねぇ。俺や叶兎みたいに“自分に作用する”能力は関係ないけど、他人に干渉する能力は大体無効化できる。しかも、近くにいるだけで周りへの効果まで弱める」
私の血ってそんな特別なものだったんだ…
能力を無効化するなんて、吸血鬼側からしたら1番厄介な存在だろう。
…というか、普通に会話してるけど私まだ能力がどうとか信じられていない。でも目の前で見てしまったからには信じるしかないのも事実だった。