【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ




…けど。


しばらくすると、三人の動きがほんの一瞬だけ鈍くなった。

その隙を見逃さず、俺は飛び出して朔の目の前に立ちはだかる。



「んなとこで見てないで自分で戦えよ、朔。どうせお前とはいつかこうなる運命だった」



真っ直ぐ、睨みつける。

いつぶりだろう、こうして朔と視線を交わしたのは。


前はもっと穏やかで優しい顔をしていたはずなのに。

今、目の前に立つ朔の顔は覇気も温もりもなく、冷たい仮面みたいだった。


そんな朔を庇うように、副総長の蓮水が前に出てきて手をかざす。



「うちのボスに手出しはさせねぇ」

「…」

「…何だよ」



見たところ、今のBSの大半の人たちは朔の能力で従わされている。

朔がそれだけの力を持ってるのは事実だ。



…でも、目の前の副総長は別に能力の影響を受けていない気がする。


数回しか会ったことはないが、蓮水は相当喧嘩が強い。

能力で操られているわけでもないのに、なんであんな奴に従っているんだ……?



「…は、何で…?」



蓮水が小さく息を呑み、驚愕の表情で俺の背後を見つめて目を丸くした。


……後ろ……?

胸騒ぎがして振り返った瞬間、俺の呼吸が止まった。



そこに立っていたのは──俺が今、世界で一番会いたかった人。




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