【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「……胡桃…」
ついに極限状態のストレスで幻覚まで見え始めたのかと思った。
だけど、俺が胡桃の姿を見間違えるはずがない。
でも……どうしてここに……。
BSのアジトに捕まってたんじゃ……?
『春流くん、桐葉くん、飛鳥馬くん!みんなのボスは叶兎くんでしょ!!目を覚ましてよ!!』
…!
そうか…だからさっきから3人の動きが鈍かったんだ。
近くに、胡桃が──純混血の胡桃がいたから。
「…あれ、俺たち、なんで…」
胡桃の声を聞いて、3人はゆっくりと顔を上げた。
その落ち着いた表情にはさっきまでの俺に対する敵意は感じない。
胡桃のおかげで3人が正気に戻った。
これで俺も、自由に動ける。
「何で…、オートロックは厳重にかけておいたはず…」
朔はブツブツと何か言いながら、呆然とした表情で胡桃の姿を見ていた。
捕まえたはずの相手が目の前に現れたら、そりゃそんな表情にもなるだろう。