総長は、甘くて危険な吸血鬼
「……胡桃…」
ついに幻覚まで見え始めたのかと思ったけど
俺が胡桃の姿を見間違えるはずがない。
でも、どうしてここに、
BSに捕まってたんじゃ…
『春流くん、桐葉くん、飛鳥馬くん!みんなのボスは叶兎くんでしょ!!目を覚ましてよ!!』
…!
そうか…だからさっきから3人の動きが鈍かったんだ
近くに、胡桃が──純混血の胡桃がいたから。
「…あれ、俺たち、なんで…」
胡桃の声を聞いて、3人はゆっくりと顔を上げた。
その落ち着いた表情にはさっきまでの俺に対する敵意は感じない。
胡桃のおかげで3人が正気に戻った、これで俺も自由に動ける
「何で…、オートロックは厳重にかけておいたはず…」
朔はブツブツと何か言いながら、呆然とした表情で胡桃の姿を見ていた。
捕まえたはずの相手が目の前に現れたらそりゃそんな表情にもなるだろう。