総長は、甘くて危険な吸血鬼
『叶兎くん』
胡桃は俺の隣に駆け寄ってきて、顔を覗き込むなりホッとしたように微笑んだ。
その笑顔を見た瞬間、胸の奥が一気にほどける。
そんな顔されたら今すぐ抱きしめたくなる。
…いや本当に今すぐ抱きしめたいんだけど。
今は、そんな呑気なこと言ってられる状況ではない。
「ねえくーちゃん、何でここにいるの?こんな事なら最初から手錠でも何でもして繋いどくべきだったね」
朔が一歩前に歩いてこようとしたから、すかさず胡桃を俺の後ろに隠す。
もう絶対に渡さない。
「はぁ、まぁいいや。…さっさとこの2人を捕えて」
朔は無気力な声で言った。
その命令に従って、背後からBSの連中が一斉に雪崩れ込んでくる。
…ざっと見て十数人。
「楽勝だな」
吐き捨てるように言って拳を握る。
数は多くても一人一人は大したことない。
むしろこれからの本戦に備えたウォーミングアップだ。
っヤバ、1人後ろに…!
春流達もこちら側に来て応戦してくれてるけど
流石に後ろにいる胡桃を守りながら戦うには限界があって
俺らの間を縫って蓮水が胡桃の方へ走って行く