【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
『叶兎くん』
胡桃は俺の隣へと一直線に駆け寄ってくると、不安そうに俺の顔を覗き込み、無事を確認してホッとしたように小さく微笑んだ。
その笑顔を見た瞬間、ピンと張り詰めていた胸の奥が一気にほどけていく。
そんな顔されたら、今すぐ抱きしめたくなるだろ……。
………いや本当に今すぐ抱きしめたいんだけど。
でも今は、そんな呑気なこと言ってられる状況ではない。
「ねえくーちゃん、何でここにいるの?こんな事なら、最初から手錠でも何でもして繋いどくべきだったね」
朔が一歩前に歩いてきて、すかさず胡桃を自分の後ろに隠す。
もう絶対に、渡さない。
「はぁ、まぁいいや。…さっさとこの2人を捕えて」
朔は興味を失ったような無気力な声で命じた。
その命令に従って、背後からBSの連中が一斉に雪崩れ込んでくる。
…ざっと見て十数人。
「楽勝だな」
吐き捨てるように言って拳を握る。
数は多くても一人一人は大したことない。
むしろこれからの本戦に備えたウォーミングアップだ。
っ、あ、ヤバ、1人後ろに…!
春流達もこちら側に来て応戦してくれてるけど、流石に後ろにいる胡桃を守りながら戦うには限界があって。
俺らの間を縫って、蓮水が胡桃の方へ走って行く。